2016年 11月 の投稿一覧

よい葉巻って?

「いい葉巻とそうでない葉巻はどう見分ければいいんですか」といった質問をよく受けますが、「〇〇銘柄が旨い」「〇〇産がよい」というのは個々人の嗜好であって、この問いのニュアンスとは違います。

マシーンメイドとハンドメイドの違いは多くの記述があるので細かく記しませんが、ハンドメイドである事は言うまでもありません。

私は日本人なので、例えば極上の玉露茶はまろやかで美味しいという発想と同じものだと思います。最近では辛味系が流行っていますが、仙台の「かんずり」などもそうで、選りすぐった唐辛子などを熟成させることによって旨みが増し、辛味の中にまろやかさを感じる。葉巻もこれと同じです。

選りすぐられたタバコ葉は、玉露に使用される葉と同じように、豊かな香りと旨みを持っています。得てしてこういった代物は全てデリケートで、人の手によって丁寧な製造段階を踏んでいくので、マシーンと違い特有のしっとり感もあります。

また、これらの葉は熟成期間を持たれるので、まろやかさも併せ持ってきます。余談ですが、この熟成過程でニコチン等が減少することにより、きつく感じさせない独自のまろやか感が出ると言われています。

これらを考えると、個々人の好みではなく、純粋にいい葉巻とした見方であれば、ハンドメイドシガーで値段はそれなりのもの。と、やはりなってしまいます。一番摘みがまず一番よいお茶に使用されるのと同様に、いいタバコ葉はまず一番よい葉巻に使われるということです。

あらためて、 ナイスシガー、  コイーバ ブラック ロブスト クリスタル

米国常駐の仕入マイスター(なぜか某大学の海洋学教授でもあります)に手配していたコイーバ ブラックロブストを改めて紹介できればと思います。

1本毎にクリスタルケースに格納されたそれは、プレゼントとしてもおそらく無難に乗りこなす容姿を持っています。
筆べき内容はそのテイストですが、キューバ産とは違う、ドミニカ共和国産コイーバ特有の上品さを改めて感じます。
スタートから序盤はクリーミーさを、中盤からはカラメル系とコーヒー系を織り交ぜ、ほのかな旨みを安定して味わえるナイスな一品です。

コイーバ=キューバ、というより葉巻=キューバと譲らない方は確かに多く、またその良さは言わずと認識するところですが、「レッドドッツ」と称されるドミニカンコイーバの良さを探らないのも、また勿体無い話です。これを機に、フラットな感覚でドミニカンコイーバが持つ良さを感じるのも悪くないのです。

コイーバ ブラック ロブスト クリスタル。 いいものは、いいです。

ラ・コロナ

ハバナシガーとして古いブランド、「La Corona」は1845年からの歴史を持つ老舗ブランド。
当時のオーナーはスペイン人のペルフェクト・ロペス。現在はタバカレラ(米国の巨大タバコ企業)が所有し、
リングはシンプルなホワイトブラックのモノトーンで、剣の上部に冠を持つ、正統派を感じさせる品格あるデザインです。

キューバ以外では東欧やブラジルなどに供給されていますが、あまりアジアではお目にかけれないブランドでもあります。
種類としては比較的大振りなシガーで占めており、「ラ・コロナ コロナ」などは有名なアイテムの一つ。
故大藪春彦氏の小説にも時折登場する葉巻。なかなかハードボイルドなシガーです。

葉巻分解 “ラッパー”

葉巻の全体イメージをつかさどる重要な部分といってもいいでしょう。
実はそれ自体にはさほど重要な要素はありません。香りを作り出すわけでもブレンドに大きく影響するわけでもなく、最終的に全体がくずれないように包める部分です。

ただビジュアルのインパクトは重要になります。例えば色味や光沢具合などです。従って結果的に同じ葉タバコでも最も丁寧に扱われた部分を使用するのがほとんどです。
専門的にはシェイドグロウン、つまり日陰で育成させたたばこで、直接太陽光に触れる事から守りながら作られる葉タバコになります。
こうする事で色合いも整い、美しく、ぬめった感のあるあの独特な光沢のある葉タバコができるわけです。
Corojoと称される部類の葉が大半を占めます。

喫煙シーンなどによりますが、例えば華やかなドリンクパーティーなどでは、ダビドフやコイーバを意気に吸うよりも、
ラッパーの色合いが美しいモンテクリストのホワイトシリーズを嗜む方が、タキシードにもマッチして個人的には好きです。

品格ある葉巻 オリヴァ

その昔キューバより亡命し、長い苦難を乗り越えニカラグア産のトップブランドとして君臨することとなったオリヴァは、Cigar Aficionadoなどのレーティングでも高い評価を得ているブランドです。

メジャーなものでは、
・セリーOシリーズ
・セリーGシリーズ
・セリーVシリーズ

などがありますが、総じて立ち上がりから中盤にかけて安定した旨みと喫味が感じられ、中盤以降はいい意味で個体差を楽しめる実力派シガーと言えます。それぞれにカカオやラム、カラメル系の大人の甘み、上質な木質系の喫味、コーヒーの味わいなど飽きる場面がむしろ少なく感じるのがオリヴァでしょう。

安価な「フロール・デ・オリヴァ」などでも、コストパフォーマンスの良いものがありますが、セリーシリーズであればまず「No」と感じる人はいないでしょう。

綺麗なラッパーとたっぷりとした白煙に、他とは違うダビドフのような品格を持つ、いい葉巻です。