先週の終わりに、私の住んでいる街で花火大会がありました。
開催場所が私の家から近かったので、会場に行かなくてもお祭りの匂いが漂って
きていました。
ソースの焼ける匂いや、花火の火薬の匂い。
小さな子供のはしゃぐ声に混ざる、少年達の笑い声。
カップルたちは幸せそうに寄り添い、老夫婦は静かに微笑み合っていました。
海を臨むその場所は、花火という共通の幸福を求めてたくさんの人で溢れて
いました。
私の家には小さな庭があり、季節の花が咲くように手入れしています。
うだるような暑い空気の中、大切な人とビールを飲みながら大好きな葉巻を選びます。
葉巻の煙の向こうには大輪の花。
優雅で壮大な、瞬間の美の時間です。
花火の視点から私たちを見ると、きっと幸せな笑顔の花がたくさん咲いている事でしょう。
悲しい出来事が続いたり、苦手なシゴトが続いたり。
それを引きずってしまっては、全てに対して穿った考え方に飲み込まれそうになります。
普段なら小さな幸せを感じ取れるような出来事さえも、見逃しそうになってしまいます。
そんな時。
たった1本の短い葉巻が人生を変えることもあります。
今回は、そんなお話です。
私は、幸せについて考えたときに、真っ先に思い浮かぶ友人がいます。
美容師をしている彼女は、念願だった自分のお店を持ち、素敵な恋人との時間も大切に
しています。
大阪と神戸を一望できるそのマンションは豪華で、テラスでシャンパンと葉巻を毎夜の
ように楽しんでいるそうです。
しかし、幼い頃はお世辞にも良好とはいえない家庭環境で育ち、自分自身も離婚を
経験しています。
今でこそ順調ですが、仕事に追われて大変な時期も数々見てきました。
差し引きすると、彼女が幸福の運命を持っているかは今のところまだわかりません。
ただ、一つだけ確実な事は、彼女はいつも笑顔だということです。
崖っぷちに立たされても、優雅に微笑みを浮かべられるタイプの人間です。
そして、その笑顔は彼女のまわりにまでも伝染しています。
そんな彼女のまわりにある幸せを数えていると、一つのお店に行き当たりました。
彼女が「幸福の種がたくさんある」と言う、神戸にある老舗のBar。
年配のマスターが一人で切り盛りしているらしいそのお店で、悲しい出来事が増えて
弱って来たら、そのお店で【幸福の種】に交換するそうです。
「行ってくるといいよ。貴方にも、私の幸せを分けてあげる」
と、言われていたものの、なかなか行く機会がないままに時間が過ぎていました。
色々な事に疲れた帰り道、偶然そのお店の前を通りかかりました。
体力的にも精神的にも本当に疲れていたのですが、気が付くと何かに導かれるように
カウンターに座っていました。
いつものアイラモルトを頼み、瞬く間に飲み干した私を見て、マスターが静かに言いました。
「お客様はお酒がお好きなのですか? それとも、呑んでいる時間がお好きですか??」
私は少しだけ考え、
「どちらも好きですが、しいて言うなら時間が好きですね…」と慎重に答えました。
「説教くさくなって申し訳ありません。ただ、もったいないな…と思いまして」
そう言いながら、1本の葉巻をヒュミドールから取り出しました。
「この葉巻は失礼を申し上げたお詫びです。そのかわり、もう少しだけ時間を
大切に使ってください」
その時に手にしたのが、当時日本に入ってきたばかりの【partagas shorts】でした。
空気と交わる煙を見て、
アルコールが身体に溶け込む、独特の感じを体感。
ココロに【素敵な時間の感覚】が浸透してくる瞬間でした。
忙しさにかまけて、【葉巻を愉しむだけの余裕】をも失くしていた事に気付きました。
マスターは薄明かりの中で静かに微笑み、
対照的に私は、零れそうになる暖かなナミダを堪えていました。
翌週、多くの事に決断をし、私にとっての不幸せな事を全て遠退ける事に成功しました。
ほんの少しばかりの幸福と引き換えに…。
しばらくは慌ただしい日々が続きましたが、今が非常に幸せなのはあの1本の葉巻がくれた
時間のおかげかもしれません。
彼女にもらった【幸福の種】は、いま少しずつ綺麗な花が咲きはじめています。
【空気に溶け込む煙】
Filed Under (ブログ) by admin on 07-07-2008
昨日の日曜日、少し時間が空いたのでドライブがてら海を見に行きました。
子供連れのファミリーや、映画のワンシーンのように波と遊ぶカップル。
そんな幸せな光景を見ながら、一人離れた場所で葉巻を愉しみました。
8月頃にご紹介出来る予定の新商品、【Playboy Black Robsto】です。
これは、最近当ホームページでご紹介した新アイテム【Playboy dondiego】を、
より豊潤に、そして上質にした味わいです。
幸せな笑顔を見ながらの、夏の昼下がりにぴったりの葉巻でした。
私は個人的に、葉巻を楽しむときは閉鎖された空間のほうが好みです。
ですが、こんな夏の日だけは例外で、暑い空気の中に溶ける煙の香りは特別で、
まるで夢の中で味わっているようなフワリとした感覚があります。
【幸せのある向こう側】も本当にいいものだとは思います。
仲間と一緒に楽しむ時間。そして、その時に片手にある葉巻も確かに美味です。
しかし、ポツンと一人きり、缶コーヒーを片手に煙をくゆらせるのも悪くないものです。
そういえば、当社でも夏の葉巻を楽しむ為に【サマーキャンペーン】を始めました。
かなりお得な内容なので、よろしければ覗いてみて下さいね。
早いもので、今日この日で今年も半分が終わります。
皆様にとって、2008年もうまく進んでいる事をお祈りしています。
明日からはもう7月。いよいよ夏も本番という感じですね。
今年の七夕は晴れるのでしょうか。
統計的に言うと七夕は雨が多いといいますが、今年はどうでしょう。
天の川が空に浮かび、恋人たちの1年越しの想いは叶うのでしょうか。
逢えない間の一年間を、二人はどんなふうに過ごしたのでしょう。
夢を見るかのような透明さで、
空を想うような気持ちで、
彼等は1年という長い、長い時間を過ごすのでしょうか。
現在、Cigar Connectionでは七夕フェアを行っております。
彦星と織姫の悲しい物語は、さながら日本版のロミオとジュリエットのようです。
そこで、ロミオとジュリエットの戯曲を、各幕に分けたストーリー仕立ての5本の
葉巻をセレクトしました。
彼らの出会い、苦悩、そして悲しい別れ。
葉巻の煙をくゆらせながら、七夕に空を想うのも悪くないのではないでしょうか。
先週から少し、仕事の内容や環境に変化がありました。
相変わらず葉巻は近くにあり、【その気になればいつでも味わえる最高の環境】と
いう点においては今までと同じですが…。
ただ、今は一緒に葉巻の話が出来るメンバーばかりです。
仕事の終わり時間も変わり、日付が変わる頃には帰宅できるようになりました。
前の職場のように、午前4時頃に仕事が終わる環境での素晴らしいことの一つに、
贅沢にも朝焼けの葉巻が味わえる、という事があります。
芦屋川の美しい水面にうつる朝日を見ながら、一人静かに一日を振り返って味わう
葉巻は格別でした。
それは、少し心残りかもしれません。
ただ、今は就労後にみんなで一緒に葉巻の時間が楽しめます。
一日を振り返って成功の乾杯をしながら、あるいは反省をしながらの時間。
そして、なによりも仲間との笑い声の中での葉巻は、また格別だということを
思い出しました。
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先日、時間を作って京都のお寺に修行に行きました。
色々な狙いがあったのですが、一番の目的は【断食】です。
ダイエットなどでも断食は知られていますが、断食の本来の目的は、行うことにより
身体の中の膿みを排出し、身体も心も奇麗にすることです。
いわば、身体と自然のチューニングです。
きちんとした環境で行うことにより五感が研ぎ澄まされ、いままで当たり前に起こって
いたこと全てへの意味を感じることが出来ます。
断食中にお寺のまわりをよく散歩していたのですが、緑や風などから、自然の力が
身体に吸収されるのを全身で感じる事が出来ました。
期間中は身体の悪いところに膿みが出るので、身体の悪い場所に症状が現れます。
私の場合は胃が少し悪いので、嘔吐に悩まされました。
しかし、悪いものが排出されている感じがあり、終わった後は驚くほど快調でした。
断食期間が終了しても少しの間は回復食の期間があるのですが、初めに口にした
重湯のおいしさは、今までのどんな豪華な食事よりも美味しく感じる事が出来ました。
そして、なんと言っても葉巻です。
期間中はもちろん禁煙でしたが、山を降りて最初に吸った葉巻は、今までの私の常識を
覆すものでした。
味、香り、指の感触……、これらの全てが今まで味わったものとは違っていました。
きっと、少しずつまた感覚を失っていくのでしょうが、これからは定期的に寺に入り、この
感覚を思い出したいと考えています。
恋を失う、と書いて失恋。
英語だとハート・ブレイクになるのでしょうか。
直訳すると恋が壊れる、という感じですね。
【恋が壊れる】はともかく、【恋を失う】という日本語ははたして適切で
しょうか。
たとえほんの少しの望みがなくても、自分の中にあるこの大事な気持ちが
失われるとは私は思いません。
しかし、【未練】なんてものは、なんの役にも立たないと思っています。
それでも、思い出と共に、一緒に抱えて先に歩くことが出来れば…と願わずには
いられません。
いつか、振り返る余裕が出来たときに開けて振り返ってみたいと思います。
子供のころに大事にしていたおもちゃの宝石箱みたいに。
と言っても恋が終わったわけではなく、また一つ、私の好きなシングルモルトの蒸留所が
閉鎖になりました。
あの独特のピートの香りとRocky Patel 1992 Toroを合わせるのは、私の大好きな
マリアージュの一つでした。
先日、大好きな歌姫のリサイタルに行く機会に恵まれました。
普段から懇意にしていただいているその方の晴れ舞台を見るのはもう数回目で、
幸運なことにもう何度か体感させていただいています。
その数回は、ありがたい事に一緒にお仕事をさせていただいた場所での事でした。
ですので、純粋に、そして客観的に楽しめるのはこれが始めての機会になりました。
最前列のど真ん中という幸運な席に着き、幸福な時間の幕が開きました。
リヒャルト・シュトラウスから始まったそのリサイタルは、アンコールが
終わった瞬間…、いえ、自宅に帰ったあとも続いていました。
それほどの時間を柔らかな余韻で満たすほど、完成度は高く、それでいて
暖かみに溢れる時間でした。
朗々と歌い上げる優雅な姿と、
笑顔で鍵盤に触れる、その繊細な指先に、
【幸福の理由】を垣間見た気がしました。
どんな物にも、どんな事にも【理由】はあると私は考えています。
が、私は自分が葉巻を吸う理由がよくわかっていません。
【味】、【香り】、【吸っている時の静かな時間】、【吸い合わせのマリアージュ】等……
幸せの理由に対する心当たりが多すぎる、というのはなんともいえない贅沢です。
私の知人で、環境と努力の才能を兼ね備えている偉大な方がいます。
その方はもともとお嬢様に生まれ、兵庫県の芦屋市で育ちました。
しかし、それだけでは満足されず、若いころはお花の師範として
ご活躍され、そして現在は高名な画家の一人です。
私自身もこの先生の作品が大好きなので、大阪に京都にと某有名
百貨店などで個展をされる度に拝見させて頂いています。
今日お話させて頂いた中で一番印象に残ったのがタイトルの
お言葉です。
お金の使い方の話になり、その方は家や車、そして宝石などには
全く関心がないそうです。
主なお金の使い道は芸術を楽しみに海外に行かれたり、本当に
おいしい食事を楽しんだりと、俗に言う財産に残らないものです。
しかし、そうして【魂に残るもの】を大切に集めて来たからこそ、
今の芸術家としての自分があるそうです。
時間は確かに有限ですが、使い方次第で濃度は変わってくると思います。
忙しく走り回る時間が向上のために必要なのと同じように、ゆっくり葉巻を
楽しむ時間も今の世の中には必要ではないでしょうか。
……なんて、少し偉そうですが…。
葉巻に火をつけた瞬間から、何十分かはもう手放す事が出来ません。
大事な人と談笑しながらの葉巻も最高ですが、本やお酒をお供に
【自分だけの静かな時間】を持つのはいかがでしょう。
本音を言い当てられると素直にうなずけなかったり…。
あまりにもいい話を聞かされると何だかむず痒く感じてしまったり…。
人は誰でも、そんな風に少しひねくれているものだと思います。
……正確に言うと、そう思っていました。彼女に会うまでは。
私の知り合いの中に、職業として小説を書いている方がいます。
「読みたい」と言うときっとプレゼントして下さるでしょうが、それをすると
【感想を言う義務】のようなものが生じてしまいます。
(向こうはそうは思わないでしょうが…)
ですので、新刊が出ると人知れず本屋に買い求めに行きます。
今回の彼女の新刊は、様々な恋人たちの関係を描いたものです。
最近よく売れている小説の多くとは違い、彼女の物語には人が亡くなったり、
絶望的な思いを味わう人は全く出てきません。
登場人物の全てが、善意に満ち溢れています。
オムニバスですので、もちろんみんながハッピーエンドになれるわけでは
ありません。
それでも空気感が暖かなままなのは、別れた後の彼(彼女)達が幸せになると
信じさせられてしまうからだと思います。
それも、彼女の物語の魅力の一つだと思います。
普段お話させて頂く彼女はとても穏やかな方で、ずっと笑顔でいます。
「物語は心を映す鏡」
そう話す彼女が笑顔でいる限り、暖かな物語たちは続いていく事でしょう。






