先週末はポートランドのローズフェスティバルに行ってきました。
ポートランドは別名ローズシティーとも呼ばれており町のあちらこちらにバラの花が咲いています。
毎年6月の始めに咲き始めたバラで飾りつけたフロートが、ダウンタウンの真ん中を音楽隊とともに行進していく様子は丁度日本の神輿と夏祭りに似た感じです。
歩道一杯に人々が陣取って行進を見ているので当然葉巻は吸えません。
川沿いの公園には色々な店が出ており、ここはかなりのスペースがあるので人に迷惑をかけることなく葉巻に火をつけることができます。
少し離れたベンチから通り過ぎる人々を眺めていると、英語以外の言葉を喋りながら行きすぎる人の多いことにおどろがされます。
最近多く聞こえる言葉の一つはロシア語です。
一体どのようにしてロシア圏からアメリカに渡ってきたのだろうかと考えてしまいます。
いずれにしてもこれだけの違った人種が集まってローズフェスティバルを楽しめるということはいいことです。
アメリカ便り
日本出張
先週は日本に一週間ほど滞在しました。
シガコネのメンバーと今後の打ち合わせなど、仕事関係の作業もありましたが、私が日本に戻る最大の理由は季節の食事です。
アメリカ旅行をしたことのある方ならわかると思いますが、アメリカの食事に季節感というものはありません。
感謝祭に七面鳥を食べる以外、食事内容は365日間いつも同じです。
アメリカの食事は基本的に大味で質より量の世界です。
その結果アメリカ人の三分の一以上が肥満という信じられない社会現象が起きています。
そんなアメリカに住んでいる私は年に二回、夏と冬に日本に戻ります。
帰国の際にはどこで何を食べるか念入りに予定し、その食事の間に仕事やミーティングの予定を入れるようにしています。
日本のメンバーも私のわがままをよく理解してくれており要望どおりの食事に付き合ってくれます。
食事の後は恒例の飲み会です。
シガコネの場合、当然シガーの吸える店での飲み会になります。
今回は私お勧めの新しいシガーをメンバーの皆さんに試してもらいました。
私個人としてはロッキーパテル以来のヒットを思っているのですが、日本導入に関しては日本の市場を考えたうえでの決定となります。
ハワイの友人
ハワイで生活していた頃、よく一緒には葉巻を楽しんだ友人の一人にマリオがいます。
彼とはよくビールをピッチャー単位で飲みながら、ハワイ大学の近くのバーで葉巻を楽しんだものです。
初めてマリオと葉巻を吸ったとき、私がテキーラに葉巻の吸い口を軽くつけてテキーラの味と葉巻の味を同時に楽しんでいるのを見て彼もそのまねをしました。
ただ彼は葉巻の火をつけるべき方をテキーラに漬けたのです。
その後彼はしきりにその葉巻に点火しようと頑張っていましたが、当然ぬれた葉巻に火がつくはずもなくその葉巻はだめになりました。
バーに入ってすぐの事だったのでけして彼は酔払って葉巻の点火口をテキーラに漬けたわけではなく、多分テキーラのアルコールに火が付くと思ったのでしょう。
火をつけるにはやはり110度ぐらいの強いお酒でなければだめでしょう。
結論から言えば葉巻をお酒につけて火をつけるのはかなり無理があります。
吸い口を軽くブランデーやウイスキーに浸すのはびしょびしょにならない程度ならOKかなと思います。
まあどちらにしてもこれらは葉巻の本道からは外れた吸い方です。
サーキットと葉巻
先日久しぶりにサーキットを走ってきました。
サーキットでの走行会などに参加された経験のある方はわかると思うのですが、サーキットで車を早く走らせるのは音楽を弾いている感覚と同じです。
コーナー手前でのブレーキ、ハンドルを切り込む角度、アクセルを開けていく度合い、次のコーナーに入る場所、これらすべてが綺麗にそろって初めていいタイムが出るのです。
私は基本的に歌も楽器もダンスも全くだめなタイプなので、当然リズムカルに車を走らせることも上手なわけがなく、しっかりスピンを一回してしまいました。
サーキットを走っていてもうひとつ感じたのは、走行中の精神状態がとても禅と似ていることです。
アスファルトの上で車と自分がひとつになり思った所に思ったスピードで入っていけるためには、気持ちが落ち着いて外部の雑念が消え去り路面の状態と自分の車の状態だけが意識されている感覚です。
葉巻を楽しんでいるときの全く逆の世界です。
私は葉巻を楽しむとき意識的にひとつのことに集中せず過去、現在、未来と思いを廻らせます。
葉巻はある意味で時間を楽しむための道具でもあります。
サーキット走行は時間を削ることを目的とした今を楽しむためのものです。
現時点では私は時間を楽しむことはとても上手ですが時間を削る楽しみの方はまだまだ修行が足りません。
youtube
最近youtubeを見て過ごす時間が増えました。
私は昭和生まれでキャンディーズが解散した年にアメリカに渡ったため70年代から80年代の日本の歌しか知りません。
ネットから30年以上前にはやった歌を拾い上げて聞いてみると、忘れていた昔の思い出がどこからともなく蘇ってきます。
多くの歌の題名も忘れている場合があり音楽が流れ出してからこんな歌もあったんだと感動することもあります。
俗に言う歌謡曲というのは振り返って聞いてみると実にその時代を反映していたことに驚きます。
葉巻を長年楽しんでいると葉巻によってはいつも同じ思い出を映し出すものがあります。
私にとってはLa Gloria Cubanaとハワイに住んでいたとき行きつけだったバーの思いでは切っても切れない関係にあります。
そのバーに集まる友人、そこでの会話それら全てがLa Gloria Cubanaに火をつけると蘇ってきます。
葉巻と友人
少し偏見かもしれませんが葉巻をたしなむのは男性の方のほうが圧倒的に多いと思います。
90年代の全世界シガーブームの頃には女性の方が葉巻を燻らしている写真など見かけましたが、シガーブームも去った今ではほとんどの葉巻愛好家は男性という感じです。
そこで男と葉巻の話ですが、男が男に送るプレゼントとして葉巻ほどいいものはないと思います。
私自身もヨーロッパ帰りの友人からキューバ産コヒーバをもらったり、パーティーの帰りに友人お気に入りの葉巻をもらったり、気がつけばいろんな状況で葉巻をもらっています。
先日、私の古くからの親友が離婚した際もヒュミドールの中から最高の葉巻を選んで10本ほど送りました。
数日後電話で話をした際、彼は離婚のことはほとんど会話にしませんでした。
それでも彼が会話の最後に“Thanks for the cigar, it helps” (葉巻ありがとう、ほんとに助かるよ)と告げました。
彼は彼なりにすべての苦い思いを葉巻の煙とともに昨日へと送り去ったのでしょう。
男から男への黙って手渡すシガー、そんな葉巻もたまには良いんじゃないかな、と思うのは私だけでしょうか。
サンディエゴ出張
個人的な話になりますが、私は長年柔道をやっている関係でアメリカ柔道協会の役員を務めています。
先日カリフォルニアのサンディエゴにて全米柔道大会があり、それに先立って柔道協会の会議がありました。
会議の合間に旧知の柔道関係者と葉巻の話になり、南米に試合に行った際、キューバ産の葉巻50本を20ドルで現地の人間から購入したけどいくらで売れるだろうという質問を受けました。
キューバ産の葉巻は基本的にアメリカでは買えません。
ですからキューバ産葉巻にはプレミアムが付き一本$30から$50以上の値段が付きます。
一本40セントの葉巻が$40で売れれば100倍の儲けということになります。
こんなうまい話があるのでしょうか?
問題は50本$20のキューバ産葉巻です。
この葉巻は間違いなく偽物です。
アメリカでも偽物葉巻が多く出回っており、インターネットなどで販売されています。
柔道関係の知人は葉巻愛好家ではなくキューバ産葉巻という事に惹かれて購入したわけですが、その安物偽キューバ産葉巻のほとんどを友人に配ったそうです。
キューバ産葉巻と信じてこれらの葉巻を吸った人の感想は知る由もありませんが、多分葉巻はまずいと確信を持つ人が増えたことだけは確実です。
サンディエゴでは葉巻を楽しむ時間はありませんでしたが自宅に戻ってから久しぶりにロッキーパテルのトロサイズをゆっくり楽しみました。
久しぶりでしたがロッキーパテルは本当に美味しい葉巻です。
値段的に倍以上のキューバ産葉巻と比べてもまったく引けをとりません。
桜
日本に住んでいた頃は気にもしなかった桜ですが、海外に長く住むとなぜか桜と日本は切っても切れない関係にあることに気付きます。
ポートランド市の川岸にも桜並木があり、この時期は綺麗な桜を楽しむことができます。
先週末ポートランドのコンドからワシントンの自宅に戻ってくると、昨年庭に植えた桜にぽつぽつと花が付いていました。
自宅に植えた桜の木はまだ2メートルに満たない小さな木なので顔のレベルで花が見えます。
早速、花見と決め付けてモンテクリスト マドュロ ロブスト(まだ日本では販売していません)に火をつけました。
40分ほど5本ある桜の木を一本一本見回りながら葉巻を楽しみました。
桜と日本。桜と思い出。日本の思い出。
そんな感じでアメリカに初めて住み始めた頃のことを考えました。
あのころは確かに祖国をはなれて海外に住んでいると言う切ない感じがありました。
しかし近年では破格の航空運賃やインターネットのおかげで日本との連絡、往復も気軽にできるようになり、海外に住んでいてもあの独特の海外生活の孤独な感じはなくなりました。
おまけに近所のスーパーマーケットではパック入りの寿司を普通に買うことができるのです。
まあこれも時の流れなのでしょうが、少しさびしい感じがします。
そうしてふと思ったのですが、思い出の世界に浸る時には葉巻ほど完璧なパートナーはありません。
ステーキハウスと葉巻の関係
アメリカでも上等なステーキは特別で祝い事や商談などの時に食べに行くのが恒例です。
大抵のレストランのメニューにステーキはありますがアメリカで上等なステーキを食する場合はやはりステーキハウスと呼ばれる専門店に限ります。
有名なところではRuth’s Chris Steakhouse、Hy’s SteakhouseやMorton’s steakhouseなどがあります。
アメリカの高級レストラン(ステーキハウスを含む)には大抵、バー(食事を注文しなくてもお酒だけ飲むことができる)とダイニング(基本的には予約して食事をする)があります。
ちなみにMorton’s Steakhouse のバーはアメリカでも数少ない葉巻の吸えるレストランバーのひとつです。
レストラン内のバーはレストラン客が待ち合わせや予約したダイニングの時間までの軽く一杯ひっかけるために使われます。
バーでマティーニを片手に葉巻を吸って時間をつぶし、綺麗なウエイトレスの案内で飲みかけのマティーニをそのまま持って(場合によってはウエイターが別に運んでくれる場合もある)ダイニングに移動し12オンスの巨大なステーキを平らげる。
これが私の考える理想的なアメリカでのステーキの食べ方です。
葉巻をゆっくり吸いたい場合はこの順序を逆にします。まずステーキを食べてそれからバーに移動してカクテル片手に葉巻に火をつける。
さてステーキハウスで吸う葉巻のサイズですがはやはりロブストもしくはトロサイズです。
やはりあの巨大なサイズのステーキと合わせるにはコロナサイズでは葉巻がステーキに負けてしまいます。
ミゲールのヨット
南米のニカラグアといえばオリバなどの有名な葉巻を生産している国です。
私の十年来の親友の一人ミゲールはニカラグア出身です。
彼とは大学院時代に知り合いITバブルの頃には一緒に会社を立ち上げたこともあります。
その会社はITバブルに乗ることなく数年でなくなりましたが、彼との友情はまだ続いています。
ニカラグア出身なら当然葉巻に通じていると考えたくなりますが、彼は葉巻はまったく吸いません。
そのミゲールが一年ほど前に中古のセールボートを購入しました。
30フィートの外洋船です。
ミゲールの予定はこのヨットを完全にレストアして世界一周に出かけることです。
彼曰く男は誰でも一度は大きな夢を持つ、でも人生の中でその夢を実際に実行できる男は数少ない。
彼の場合はヨットで世界を回ることが夢であり、現時点で妻も子供もない彼にとってその夢を達成するのは今しかないということです。
ミゲールの予定では今年の8月には出航することになっています。
果たして本当に予定通りにいくのかどうかはレストアの進み具合次第です。
私も週末に時間があれば彼のヨットのレストアに付き合います。
一日の作業が終わり葉巻に火をつけると煙の向こう側にミゲールと彼の船が何もない水平線を目指して進んでいく様子が浮かびます。
夢を追い続けることができる男というのはどこか寂しい感じがすると思うのは私だけでしょうか。