先週の終わり頃から、ぱらぱらと白いものが氷雨に混じって降るようになりました。
天気予報も明日は完全な雪日和と伝えています。
今週はいよいよ本格的な冬模様になるようです。
外気温が氷点下まで下がると、さすがに外では葉巻を楽しむことはできなくなり、スモーキングルームの出番です。
この家に引っ越してきてから早くも3年になりますが、スモーキングルームのほうはまだ完全には完成していません。
空調、ライト、それに天井付けの換気扇は稼動できる状態なので、スモーキングルームとして使用することは可能なのですが、床はまだコンクリートの上にカーペットを敷いただけの状態です。
本来のプランでは床にもちゃんとタイルを張り、ガレージドアを設置し、冬場は乗らないスポーツカーを見ながら葉巻を楽しめる空間に仕上げる予定です。
残念ながら今年の夏場は全く手を入れなかったので、昨年から発展は無く、今年の冬も未完成の空間を見つめながら葉巻を楽しむことになりそうです。
この季節に寒さに震えることなく自宅で葉巻を楽しめるだけでも良しとするべきかもしれません。
大切な時間
眠れない夜の葉巻
皆さんはなかなか寝付けない夜更けに葉巻に火をつけたことがありますか?
私の場合激しい運動をした日の夜など、ベッドに入ってもいつまでも寝付けない場合があります。
運動して体を動かしたのだから疲れて眠れそうな感じなのですが、不思議と寝付けないのです。
こんな夜はそっとベッドを抜け出してスモーキングルームに向かいます。
コロナもしくはロブストサイズの葉巻をヒュミドールから選び出し、静かな寝静まった夜の空気を感じながらそっとカッターで吸い口を切る感覚は、何か隠れて悪いことをしているような錯覚に陥ります。
ターボライターの青白い火をゆっくり回しながら葉巻に火をつけるのは、眠れない夜の儀式といった感じです。
そんな夜にはただ純粋に葉巻のアロマを楽しむようにしています。
変にいろんなことを考えるのではなく、ただ消え行く煙に気持ちを重ねながら葉巻の持つ本来の味をじっくりと味わうのです。
ゆっくり時間をかけて葉巻を味わい終えたころには、体の芯にあった疲れや考え事も葉巻の灰の一部となり、ベッドに戻るころには眠りつくことができるのです。
ワシントンのホップ
私の住んでいるワシントン東部は、ビールに欠かせないホップの生産地として有名です。
全米の実に75%、全世界の30%にあたる年間消費されるホップはここで生産されています。
私の働いている大学の回りもすべてホップ畑です。
9月の終わりから10月にかけてはホップの刈入れ時です。
ホップの収穫は、まだ夜が明ける前に行われるようで、昨日まで地平線まで広がっていたホップが次の日には全て刈入れられ、朝の通勤ドライブ中にその風景の劇的な変化に唖然とする事もよくあります。
この地で生産されるホップのかなりは世界中に輸出されていきますが、現地(オレゴンもしくはワシントン州)で作られる地ビールにも当然使われます。
この週末、ポートランドにある馴染みのレストランバーでビールを注文したところ、いつものビールは無くタップ(生ビール)の殆どが収穫されたばかりのホップを使った季節限定のビールでした。
丁度ワインで言うとこのボンジョレヌューボといった感じでしょうか。
早速すこし軽めのドライな採り立てのホップで作られた生ビールをオーダーして、収穫の秋に乾杯しました。
残念ながらこのバーはスモーキングセクションがなく、作りたてのビールに葉巻を合わせて楽しむことはできませんでしたが、ビールの味からすればOliva serie Oあたりがお勧めかと思います。
葉巻の秋
秋は葉巻の似合う季節だと思います。
火をつけた瞬間から少しずつ短くなっていく葉巻はちょうど日を追うごとに短くなっていく秋の夕暮れと重なるものがあります。
夕日の中に消えていく煙に夏の思い出を重ねながら葉巻を楽しむのは、葉巻愛好家だけに与えられた貴重な時間だと思うのです。
葉巻の色もまた秋を感じさせるものがあります。
コネチカット、ハバナス、カメルーン、マデュロ、これら色々なラッパーはどれも秋の落ち葉に見つけることのできる色合いです。
考えて見れば葉巻自体が枯れたタバコの葉からできている訳ですから、落ち葉と通じるものがあるのは当然です。
私は葉巻に火をつける前に、そのラッパーの感触と色合いを確かめることにしています。
火をつけてしまえば小一時間で灰になってしまうは葉巻ですが、こうして自分の指の間に収まるまでに実に多くの自然の恵みと人々の労力が詰まっていると思うのです。
そんな葉巻の色合いと感覚を楽しむのはやはりこの秋の季節に限ると思うのです。
チャイナタウン
日本の横浜や神戸にチャイナタウン(中華街)がある様に、アメリカの大きな町には決まってチャイナタウンが存在します。
サンフランシスコの中華街のように、観光客に溢れているチャイナタウンは全体からすれば稀で、チャイナタウンはあまり治安の良くない都会のはずれにある場合が殆どです。
ホノルルのチャイナタウンもその例に漏れず、麻薬もしくはアルコール中毒者、売春婦、ホームレスが溢れていました。
ホノルルのチャイナタウンは、当時住んでいたコンドミニアムから歩いて数分の距離にあったので、買い物や安い外食によく利用しました。
ハワイ時代はコンドミニアムの入り口で葉巻に火をつけて、そこから真っ直ぐ海に向かって歩いて、アロハタワー経由でチャイナタウンを回って家に帰るのが夕方の葉巻散歩の基本でした。
アロハタワーは観光客で結構にぎわっていても、チャイナタウンの始まるあたりからは人数もまばらになり、寂れたバーから漏れてくる明かりが怪しくそのあたりを照らしていました。
その人生の終わりを待つだけの雰囲気が漂うバーには一度も足を踏み入れることはありませんでしたが、今でもハワイ時代に良く吸っていたLa Gloria Cubanaに火をつけると思い出します。
ちなみにそのバーの名前はParadise Lost(失われた楽園)でした。
友人、オイスター、マーティーニ、そしてロッキーパテル
先日、グアム時代の友人が、本土で会議に出席したついでにシアトルに数日滞在するということで、久しぶりの再会になりました。
若かった頃はどんなに酒を飲んでも全く崩れなかった彼も、現在ではコレステロールと血圧の薬が手放せなくなっており、年をとるのは怖いものだと考えさせられました。
初日の夜は、シアトルダウンタウンにあるブルックリンという名のシーフード専門店で、オイスター(生牡蠣)の前菜をあてにマーティーニを数杯流し込みました。
私がアメリカ北西部で養殖されているオイスターの中で一番気に入っているのがKumamotoオイスターです。
どう考えてみてもこの英語のKumamotoは“熊本”だと思うのです。
多分そのむかし、日本の熊本から牡蠣の種を持ってきて誰かが養殖を始めたのでしょう。
この熊本オイスター、小粒でとてもクリーミーな上品な味わいを持っているのです。
日本では一度もこの熊本産の牡蠣など見たことが無いので、多分もう日本では生産していないのかもしれません。
オイスターとマーティーニを充分楽しんだ後は、二人でロッキーパテルを燻らしながらシアトルの夜の町に出かけました。
こうして友人と昔話に花を咲かせながら楽しむ葉巻は最高です。
友人、オイスター、マーティーニ、ロッキーパテルとてもいい感じのシアトルの夜でした。
夏休み
七月半ばといえば日本では夏休みの始まりの季節だと思います。
私は中学校まで日本の学校教育を受けていたので、約一ヶ月の夏休みを楽しみにしていたのを覚えています。
一つ嫌いだったのが夏休みの宿題です。
どう考えても休み中に宿題をすることは、休みというコンセプトに反すると子供ながらに考えていたのを思い出します。
確か小学校 高学年の時だったと思いますが、どうせ宿題はしないのだからと思い、学校からの帰り道、先生方からいただいた宿題のプリントをすべて川に捨てました。
その夏は机の上に意味も無く積もった宿題の山を見ることなく、楽しく蝉捕りや小魚捕りに熱中できたのを覚えています。
一日中、山や川で遊べばいろんなことを学ぶものです。
川の流れのどの辺りが一番早いか、砂と小石の分布、蝉によってもとまる高さが違うこと、簡単に言えば一ヶ月間の校外学習のようなものです。
そのうえ山の中を走ったり、川岸の崖から飛び降りたりしてましたから、運動神経の成長にも一役買っていたと思います。
今年の夏休みはワシントン大学で、井戸水中の細菌に関する研究をしているわけですが、それも幼年期に川の水をビンに入れて太陽にすかして観察していた自分の延長だと思うのです。
一つだけ違うのは、幼年期の自分には思い出という観念は無かったと思います。
すべては今日であり、今目前にあるものがすべてだったと思います。
数十年後、今の自分には現実と過ぎ去った思い出、あるいは経験という二つの次元の世界がつながるのです。
葉巻を楽しむ時間は、この過去と現実を照らし合わせて人生を振り返る時間でもあるのです。
一年ぶりのフィリピン
妻と恒例の夏のダイビング旅行でフィリピンに行ってきました。
毎年少しは違った場所に潜りに行こうと、いつも話しだけはするのですが、旅費と時間を考えるとフィリピンのそれもアポアイランドになってしまうのです。
結果として三年連続でアポアイランドで潜ることになりました。
アメリカ西海岸からアポアイランドに行くためには、まず成田経由でマニラに入ります。
マニラで一泊して次の日、国内便でネグロス島のドマゲッティまで一時間少し、そこからホテルの送迎車で30分位でアポアイランドの見えるダウインという町に到着します。
ここをベースにアポアイランドに潜りに行くのです。
アポまではバンカボートで30分から40分ぐらいです。
アポでは午前中に2本潜り、ランチを島で食べた後午後に軽く1本潜ってからホテルに帰る、というパターンが基本です。
アポアイランドの周りは禁漁区になっており、魚の数もサイズも最高です。
銀ガメアジの群れの中を潮流に乗って、流れながら潜るのはアポアイランドならではのダイビングです。
アポでのダイビングのもう一つの楽しみは、島に上陸してのランチです。
数年来の付き合いのダイブガイドが、新鮮な魚を手配してくれ、それを現地の人と同じように焼き上げてご飯と一緒に食べるのです。
過去には現地で取れたマグロの腹身(いわゆるトロです)をBBQにして、豪快に手でちぎりながら食べたのですが、今回はなんとマグロの背びれの付け根でした。
生まれて初めて食べたのですがマグロの背びれの部分は、トロ以上に油が乗っており歯ごたえもあり最高でした。
ダイビングを終えた後は、ホテルに戻りフィリピンの国民的ビールサンミゲールを一気に飲み干します。
二本目のビールを開ける前に、持参した南米産葉巻に火をつけるのです。
今回はオリバとペルドモをシガーケースに入るだけ(何とか6本入りました)持ってきました。
海風を受けながら水平線に浮かぶアポアイランドを背景に味わう葉巻は最高の時間を作り出してくれました。
完璧な午後
今日は大学の仕事を早めに切り上げ、夕方の4時には家に帰ってきました。
妻が帰宅するまではまだ少し時間があったのでオリヴァセリーVに火をつけました。
中庭の芝生の上でごろごろしている猫を見ながらゆっくりと葉巻を味わいました。
季節的には丁度春と夏の間、熱くのなく寒くのないこの時期は、外で葉巻を楽しむには最高の季節です。
それにしてもオリヴァセリーVという葉巻は本当に美味しい葉巻です。
ほのかな甘さと完璧ともいえるドローが、葉巻本来の持つ深い香りを最高の感覚で楽しませてくれます。
庭の椅子から宙を仰げは少し陰りのある雲と初夏を感じさせる深い蒼色の空。
南米の大地で育った最高のタバコの煙。
これらが微妙に混じりながらゆっくりと時間の中に解けていきます。
日々の忙しい仕事もいろんな思いも、この瞬間には手品のように流れ去り、自分だけに許された時間が訪れるのです。
芝刈りと葉巻
アメリカの家は日本の家に比べて数倍広く、下手すると十倍ぐらいの広さがあります。
田舎に行くほどその傾向は強く、私の住んでいるワシントン州東部もその例に漏れず、宅地販売がエーカー単位(4000平方メートル)の敷地だったりします。
中には庭で馬を数頭飼っていたりするのです。
自称都会派の私は、庭いじりなどは時間の無駄だと考え、できるだけ敷地の狭い土地を探して数年前に購入した現在の家は、それでも1300平方メートルの敷地面積があります。
庭の面積を削るため、一階部分の半分をガレージ兼スモーキングルームに変更し、そのガレージ部分(2台分)から大きなカーブを描きながら公道まで出れるように車道を作ったのですが、それでもまだかなりの面積が芝生で占められています。
週末は大抵ポートランドで過ごすので、芝を刈る暇も無く、今年までは近所の中学生に$20手渡して、一週間に一度庭の芝刈りを頼んでいたのですが、今年からは健康のために自分で芝刈りをすることにしたのです。
ホンダ製の芝刈り機を購入し早速芝刈りにかかりました。
ホンダ製の芝刈り機の性能は素晴らしく、勝手に自走してくれるので押す必要も無く、ただその芝刈り機の後ろを軽く手を当てながら歩くだけでいいのです。
これでは全く運動にはなりません。
でも葉巻を楽しむには格好のチャンスです。
先週末もOliva Oを軽くふかしながら芝刈りの時間を楽しみました。
ゴルフと葉巻は良くある取り合わせですが、芝刈りと葉巻もそれなりにいける取り合わせではないかと思います。